2026 年 41 巻 2 号 p. 128-139
大鵬薬品工業株式会社は,がん領域のスペシャリティファーマとして,「システイノミクス創薬」などの独自の創薬技術を活用し,画期的な新薬を創出してきた。近年は,創薬活動の効率化と創薬力の強化を目的に,DXや生成AIなどの最新技術の導入や人財育成を積極的に推進している。大鵬薬品において創薬研究を担う研究本部化学研究所では,ベテラン研究員のノウハウが暗黙知として属人化していることが課題となっていた。この課題の解決に向け,知識構造化ワークショップを通じて,ベテランの暗黙知を形式知化し,構造化マニュアルとして標準化する取り組みを開始した。さらに,構造化マニュアルを生成AIに組み込み,AIチャットボットの活用,テスト作成,安全衛生教育などに活かすことで,知識継承の効率化と新規配属者への教育の質向上も図る予定である。この新たなナレッジマネジメントを組織に定着させるため,組織的支援を継続的に得られる体制を整え,スキルマップ運用を含む人財育成計画を体系化し,構造化マニュアルを定期的に改訂する仕組みを構築している。これらの取り組みにより,新規モダリティの台頭による創薬研究ニーズの変化に対応し,創薬力強化に貢献する人財の育成を進めていく。そして,患者のアンメットメディカルニーズに応え,かけがえのない日常の継続につながる新薬の開発を大鵬薬品はこれからも継続していく。