2026 年 41 巻 2 号 p. 140-149
生成AIの進化と普及により,ナレッジマネジメントは大きな変化点を迎えている。大規模言語モデルなどの生成AIの活用により,従来のナレッジマネジメントシステムの課題であった現場での知識の収集と活用の困難は大幅に解消されつつある。しかし,実用化されているナレッジマネジメントシステムの主な対象は形式知であり,形式知化されずに現場に蓄積されている膨大な暗黙的で潜在的な現場知識のマネジメントのための生成AIの活用は発展途上にある。そして,サイバー空間のナレッジマネジメントでは米中が先行するが,工場などの様々な現場(フィジカル空間)に蓄積された知識のマネジメントに関しては日本の強みが発揮できるという期待が大きい。本稿では,生成AIを活用した現場知識のマネジメントに関する最新の研究および国内の実践例を紹介し,その動向を概観する。また,筆者らが取り組んでいるデジタルナレッジツインについても紹介し,今後の研究課題を述べる。