抄録
これまでの企業経営において,OEM (Original Equipment Manufacturing : 相手先ブランドによる生産)は,主に市場の成熟期に多用される戦略とされてきた。この時期におけるOEMの狙いは,受託・委託企業共に,コストダウンにあった。しかしエレクトロニクスを中心とする規格・標準化がからむ分野においては,市場の導入着にOEMを戦略的に活用することが,競争上重要になってきた。これは単にコストダウンのためではなく。さまざまな狙いをもっている。ケース分析をもとにこれらのOEMの狙いを製品ライフサイクル別に見ると,OEM委託側企業(販売側企業)においては,市場導入期は「機会模索」,市場成長期は「製品ライン拡張」,市場成熟期は「製品ライン維持」がある。他方受託側企業(生産側企業)においては,導入期は「良い競争業者づくり」,成長期「得意分野の強化」,成熟期「競争業者減らし」などがあげられる。