超音波検査技術
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教育シリーズ
産科領域の超音波検査
岩崎 昭宏水谷 不二夫
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1996 年 21 巻 1 号 p. 15-25

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抄録
1977年,AIUM(米国超音波医学会)による“超音波の臨床的応用の安全性に関する勧告”(1983年改定),ならびに1986年,日本産科婦人科学会ME問題委員会による“電子スキャンを用いた超音波断層法の施行に関する指針”により,胎児への影響を現段階では考慮しなくても良いため,産科領域では超音波による検査が一層,比重を増した.近年の著しい超音波断層装置の進歩により胎児計測や奇形の確認,血流測定,体内治療の補助まで幅広い検査が行われている.しかし,経膣式探触子の普及により,緊急の場合,医師が診察室で検査することが多くなり,検査室で行われるのはスクリーニング的な要素が増加している.一般的に産科領域の異常率は,わずか1~2%に過ぎない,こうした異常のほとんどが妊婦の自覚症状がなく,超音波検査によって初めて診断できるのが通常である.したがって,低率である異常をスクリーニングでいかに発見するかは検者の技量次第となる.知識や経験を積み重ねることで検査精度を向上させることができるが,習熟者でも気のゆるみから,見落としや誤認があることはいうまでもない.本稿では基本的内容を中心に産科領域の超音波検査の現状について述べる.
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© 1996 一般社団法人 日本超音波検査学会
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