2017 年 42 巻 4 号 p. 410-415
はじめに:フィブロスキャンから得られるControlled Attenuation Parameter(以下CAP)は脂肪肝の定量評価に用いられているが普及率は高くなく,一般にはBモード画像での定性評価が行われている.本研究ではCAPを基準に肝臓Bモード画像の深部方向への輝度変化からBモードでの脂肪肝評価の可能性について報告する.
対象・方法:対象はフィブロスキャンを用いCAPを測定し,HI VISION Ascendusで腹部超音波検査を行った,びまん性肝疾患に罹患している53例である.Bモードはプローブ中心部に大血管が入らない断面を作成し,輝度測定は肝表面より2~10 cmとし,医療画像解析ソフトImageJ1.45を用いて輝度分布を求め,輝度変化の近似曲線のγ値を計算する(以下輝度変化ɤ値).する.検討項目は①CAPと輝度変化ɤ値との相関関係②CAPをSassoらの報告した方法を用いS0~S3に4分類し,それぞれの輝度変化ɤ値の中央値を求める.③輝度変化ɤ値のS1~S3のcut off値を求める.
結果:①相関係数γ=−0.896(p<0.001)で強い負の相関関係を認めた.②中央値はS0=0.468, S1=0.006, S2=−0.027, S3=−0.0133となり各間に有意差(p=0.05)を認めた.③輝度変化ɤ値のcut off値はS1 0.007(感度85.3%特異度84.2%),S2−0.008(感度100%特異度87.1%),S3−0.086(感度100%特異度97.7%)となった.
結語:輝度変化ɤ値を用いることでCAPと同程度の脂肪肝定量評価の可能性が確認できた.