超音波検査技術
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原著
頸部放射線治療後の頸動脈超音波所見の特徴
太田 真希飯田 典子石津 智子町野 智子中山 霞丸田 友香藤田 佑莉中島 英樹上牧 隆南木 融川上 康
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2019 年 44 巻 2 号 p. 213-220

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抄録

目的:頸部放射線治療後の症例を対象に頸動脈超音波検査所見の特徴を検討し,危険因子を合わせた対照と比較することである.

対象と方法: 2012年4月から2014年3月に当院で頸動脈超音波検査を実施した症例の中で,癌治療のために頸部放射線照射の既往のある15例(年齢71±7歳,男性12例)を対象とした.臨床背景として放射線治療後の年数,原疾患,高血圧,脂質代謝異常,糖尿病,喫煙,脳梗塞の有無を調査した.頸動脈超音波検査では最大内中膜厚(IMT),プラークの性状,狭窄の有無,プラークスコアを計測した.傾向スコアマッチング法を用いて交絡因子の影響を調整し対照群を決定し,頸部放射線照射既往のある症例と比較した.

結果と考察:頸部放射線治療後に脳梗塞を発症した症例は15例中6例(40%)で放射線治療後5年以上経過していた.頸部放射線治療後症例の頸動脈超音波検査においてのプラーク性状は潰瘍性病変,低輝度プラークなどの臨床的に脆弱性を危惧する注意すべきプラークおよび有意狭窄が高頻度に認められた.

また,頸動脈超音波検査において傾向スコアマッチング法で決定した対照群と比較し動脈硬化が生じにくい総頸動脈を含め頸動脈の広範囲にIMTの増大を認めた.

以上より,放射線治療が頸動脈エコー所見に関与していることを示していると考えた.

結論:頸部放射線治療後の頸動脈超音波所見の特徴は両側頸動脈の広範囲,特に総頸動脈の注意すべきプラークや狭窄を認めることであった.放射線治療による頸動脈血管障害の活動性が持続し経年的に血管壁の不安定性や狭窄が進行する場合があり,超音波検査による定期的な経過観察が必要である.

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© 2019 一般社団法人日本超音波検査学会
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