論文ID: 329
目的:乳房造影超音波検査(CEUS)における背景乳腺組織の造影効果の程度と閉経状態や造影MRIの背景乳腺造影効果(BPE)を比較し,関連性について明らかにすること.
対象・方法:対象は2015年4月~2018年4月までに当院でCEUSと造影MRIを同日に施行した症例のうち,撮像断面内にそれぞれ5 mm以上の厚さの乳腺組織と脂肪組織が描出されていた43症例.CEUSの造影効果は,径5 mm大の関心領域を背景乳腺組織と脂肪組織にそれぞれ設定して時間輝度曲線を作成,パラメータ解析にてピーク輝度(PI)を算出して背景乳腺組織と脂肪組織の比をPI ratioとして評価した.PI ratioと閉経状況,造影MRIにおけるBPE, マンモグラフィにおける乳房構成との関連性について検討した.
結果・考察:閉経前後でPI ratioに有意差は認めなかった(p=0.242).BPEとの比較では,高BPE群で有意にPI ratioが高値を示した(p=0.03).乳房構成とPI ratioに有意な相関関係は認めなかった(ρ=0.053, p=0.74).MRIで高BPE群の症例は,CEUSで背景乳腺の造影効果が強いことが予測されると考えられた.
結語: CEUSにおける背景乳腺組織の造影効果は,造影MRIで高BPE群にて有意に高度であるが,閉経状況や乳房構成との関連性は認めなかった.