超音波検査技術
Online ISSN : 1881-4514
Print ISSN : 1881-4506
ISSN-L : 1881-4506

この記事には本公開記事があります。本公開記事を参照してください。
引用する場合も本公開記事を引用してください。

乳癌との鑑別を要した乳腺限局性結節性アミロイドーシスの1例
小野寺 亜希市原 真平田 真美木下 静江廣瀬 邦弘
著者情報
ジャーナル 認証あり 早期公開

論文ID: 331

この記事には本公開記事があります。
詳細
抄録

症例は50代女性.マンモグラフィで両側乳房に良性石灰化を認め,超音波検査(US)を施行.左乳腺外上区域に径16 mmの腫瘤を認めた.腫瘤は境界部高エコー像(halo)様に見える像を呈していたことから乳癌も否定できず,生検を施行した.病理組織像で腫瘤内にはアミロイドの沈着が高度で,アミロイドーシスと診断された.病変の境界部は組織学的に,アミロイドが脂肪組織の隙間に入り込むような沈着パターンを示していた.これは硬性型浸潤性乳管癌の浸潤先進部でみられる癌細胞と線維化,周囲の脂肪組織が混在する状態と類似性を認め,腫瘤の境界部がhalo様に見えた成因と考えられた.アミロイドーシスは全身性と限局性に大別されるが,本例はシェーグレン症候群に合併した限局性アミロイドーシスと考えられた.乳腺に発生する限局性結節性アミロイドーシスはまれであり,乳癌との鑑別が難しいとされている.US像と病理組織像を対比した症例はこれまで認められないため報告する.

著者関連情報
© 2021 一般社団法人日本超音波検査学会
feedback
Top