超音波検査技術
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ステント留置後の右冠動脈周囲の心外膜から発生し,心タンポナーデを併発した心臓原発悪性リンパ腫の1例
木村 悟新木 貴石見 慎西 涼介中平 茜木村 僚太中村 伸一高城 有紀小伊勢 栞高橋 愛里紗山下 雅敏堀田 怜士反 英昌
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抄録

症例は70代,男性.全身倦怠感を自覚し,前医で心囊液貯留と血圧低下を指摘されたため当院に救急搬送された.経胸壁心エコー図検査で心臓周囲の大量の心囊液貯留とともに右冠動脈の走行に沿って冠動脈周囲から肺動脈前面にかけて充実性腫瘤を認めた.心タンポナーデと診断し,心囊ドレナージにより血行動態の改善を図った.1年前に経皮的冠動脈ステント留置術の施行歴があることから冠動脈からの出血に起因する血腫の可能性も考慮し,充実性腫瘤については血腫もしくは腫瘍を疑い,冠動脈造影検査を施行した.以前の経皮的冠動脈ステント留置術中の造影写真の再確認含め検討したが,出血は否定的であり腫瘍の可能性が示唆された.リンパ節の腫大やsIL-2Rが高値であることから悪性リンパ腫が考えられた.さらに心囊液の細胞診での異型細胞の検出が裏付けとなった.FDG-PET/CT検査では悪性リンパ腫の浸潤に矛盾しない結果であった.心臓を主体に腫瘍が存在したことから心臓原発悪性リンパ腫の可能性が示唆された.組織診断目的のため鎖骨上窩リンパ節から生検を施行し,病理結果よりびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と確定診断した.心臓腫瘍の確定診断や治療方針の決定には病理組織学的検査が必須となるが腫瘍の存在診断や合併症の診断には経胸壁心エコー図検査は有用と考える.今回,経胸壁心エコー図検査をきっかけに診断・治療に至った症例を経験したので報告する.

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© 2022 一般社団法人日本超音波検査学会
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