抄録
下田光造博士が1929 年に「異常児論」において提唱した執着性格は,どのように執着性格論を構成したのかについては明らかにされてない面がある。しかしながら,現代の日本における「執着性」の現象形態と,それに関連する病態についての検討は,精神病理学に要請された課題であるとしている(玉田,2018)。また,日本精神病理・精神療法学会シンポジウム(2013)では「下田の執着性格の今日的意義」が研究協議メインテーマともなった。研究1 では,SPI 下田式性格検査標準版における執着性格の因子構造について,高校1 年生を対象とした場合どのような形で中心概念が因子として抽出されるのか検討した。研究2 では,研究1 の因子分析から抽出された因子の構成について共分散構造分析を使ってモデル検討を行った。