論文ID: 405
症例は70代,男性.近医の定期的な血液検査で胆道系酵素の上昇を認めたため,腹部超音波検査を施行したところ,肝左葉内側区に腫瘤を認めた.当院消化器外科に紹介となり,肝内側区切除術が施行され,肝細胞癌と診断された.術後7か月,当院で経過観察目的に施行した造影CT検査で肝左葉外側区に新たに腫瘤を認め,再度精査となった.血液検査では,γ-GTPの軽度上昇を認めるのみで,腫瘍マーカーの上昇は認めなかった.術前の精査目的に施行した腹部超音波検査では,肝左葉外側区(S2)に18×16 mm大の腫瘤を認めた.境界明瞭,輪郭は後面が整,前面がやや不整.内部エコーは等輝度で不均質であった.辺縁に比較的厚い低エコー帯を伴っていた.心拍動の影響で血流シグナルの評価は困難であった.腹部造影CT検査では,肝左葉外側区(S2)に2 cm大の腫瘤を認め,早期濃染および洗い出しが確認された.本症例は,術前の超音波検査で,肝細胞癌としては非典型的な像を呈していたが,他の画像所見および既往歴から肝細胞癌の再発が否定できず,肝部分切除術が施行され,肝炎症性偽腫瘍と診断された.本症例のように肝細胞癌のリスクが高い症例においても,新規に腫瘤を認めた際には,超音波検査でその特徴を注意深く観察し,典型像と異なる場合には肝炎症性偽腫瘍も鑑別疾患の一つとして考慮した方がよいと考える.