2019 年 34 巻 2 号 p. 8-12
症例は84歳、男性。直腸癌術後11年後に挙上腸管穿孔、膿瘍形成、そして外瘻化をきたし、手術治療を要した。瘻孔発生に関しては、クローン病、腫瘍性病変、慢性便秘による宿便、そして人工的な原因などはなく、特発性と考えられた。さらに本症例に関しては、皮下脂肪層の厚みの減少と、内圧上昇によるものと推察した。本邦のストーマ保有者は年々増加している。一方で、直腸癌術後の生存率も改善してきており、ストーマ保有者の長期生存が珍しくなくなってきている。ストーマの晩期合併症としてストーマ瘻孔も念頭に置く必要があると考えられた。