抄録
【目的】腸電位計を24時間装着して大腸蠕動運動可視化の方法や可能性を探求することである。
【方法】健康成人1名を対象に、腸電位計電極を下腹部の3点に24時間装着し、測定中はイベントシートに食事、排泄、睡眠、行動の記載を依頼した。腸電位計によるデータを用いて、周波数と時間に基づいて大腸の活動電位としてのパワースペクトルを解析した。
【結果】対象者は60歳代の女性1名であった。腸電位計データの解析では大腸周期を51.2秒、呼吸周期を5.1秒と推定することで、大腸と呼吸の活動電位を分離することができた。また、イベントに合わせて解析した大腸電位のパワースペクトルは、排便の20~30分前から上昇し始め、排便時に最大となっていた。
【考察・結論】電位計を24時間装着して大腸の活動電位を測定することで、大腸蠕動運動を可視化できる可能性が示唆された。排便前後でパワースペクトルが異なることから、本測定法は、便意を喪失したストーマ保有者のケアに活用できる可能性がある。