主催: 日本デザイン学会
インターネットが広く普及した今日,技術の標準化を行い誰でもが利用できるコンテンツを提供しようという世界的な動きがある.ところがこのWEBコンテンツのW3C勧告には聴覚障害者向けガイドラインがほとんどない.W3C勧告では「音声の部分には代替テキストを表示するように」という記載があるだけである.WEBコンテンツの利用において,健聴者と聴覚障害者は,音声以外の部分はほとんど差がないとされていると思われる。しかし、日常的に聴覚障害者と接している経験から,映像情報に対する瞬間的な認識力や感性は差があるように思えてならない.
本研究では,コンテンツの操作過程を視線移動とマウス移動を追跡しながら比較するという実験結果を行った.その結果WEBアクセシビリティにつながる操作性の違いなど,いくつかの特徴を見つけることが出来た.本論では実験の結果から考察を行い,仮説的な聴覚障害者向けガイドラインの提唱を行うと同時に感性や認識の違いを利用し,デザインで解決できるWEBアクセシビリティの可能性についての展開を試みる.本研究の最終目的はWEBデザインの造形ガイドライン整備である。