現代美術作品の表現は多様化し、鑑賞にあたり難解な場合が少なくない。またそれらの展示に際し、キャプションの位置がわかりにくい場合がある。ミュージアムに求められる機能の多様化や、デジタルメディアの急速な発達から、これまで以上に新たな鑑賞方法が求められている。PDAや携帯電話の携帯情報端末を使用した作品鑑賞ガイドの実験が、博物館や美術館において始められている。しかし、システムの構築が優先し、鑑賞者の視点にたったデザインでない場合が少なくない。本プロジェクトでは、デザインによるユーザビリティの向上を目的として、PDAを使用した作品鑑賞ガイドのデザイン提案を行なった。2003年11月14日から16日までの3日間、名古屋市美術館の常設展示会場において、一般鑑賞者を対象として、PDAを使用した作品鑑賞ガイドの体験及び体験後のアンケートを実施した。使いやすいデザインとするための具体的なデザイン提案の評価と問題点をアンケートの分析により抽出し、今後の課題とする。