抄録
本研究は車いす利用者が車椅子のままでの乗降、運転操作を可能とする1人乗り自操式電動コミューターについての提案である。現在市販されている福祉車両の大半は、既存の車両をベースに設計されたものであるが、本研究ではShoe in Shoe (靴と靴下の関係)コンセプトに基づき、車いす利用者が乗る事を前提として研究を行った。つまり外側からではなく、内側からレイアウトを構築していく事で車いす利用者にとっての理想的なパッケージングを構築していくという方法である。コミューターのサイズは可能な限りコンパクト化する事で、エレベーターでの移動をはじめ、屋内や都市部のような入り組んだ場所での扱いやすさ等も向上すると考える。そのための具体的な車体サイズを導き出し、実際に実寸大のモックアップモデルを製作し、車いすを使って検証を行った。本研究では上記のような条件に基づいたパッケージングの構築とガイドラインの設定を目的とするが、これらの成果を応用し、カースタイリング誌における国際コンペティション2005に応募した作品の概要を本報告の後半に示す。