日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第54回研究発表大会
セッションID: A08
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近代日本における消費と男性
ファッション消費をめぐる言説を中心に
*神野 由紀
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抄録

これまで、ファッションに関する消費は特に女性特有のものと考えられてきたが、近代初期から男性もまた、積極的に流行ファッションを追い、自分の身なりに気をつかい、消費文化を享受していた。本発表では、男性とファッションの関係を明らかにするために、近代の男性の精神的基盤としての「紳士」という概念に注目し、明治期に多数刊行された紳士論を検討し、そこでの記述が精神的な教えにとどまらず、ファッションの指南に特に力を入れていることを明らかにした。さらに、この男性ファッションを支えるメディアとして、戦前期に刊行された『学鐙』『新青年』を調査し、特に服飾雑貨など流行商品に関する広告を検討し、戦前期の男性消費の実態を明らかにした。その結果、理性的な性であるべき男性は、実際には女性と同じく都市の消費者であったが、その消費を正当化するために、「紳士」になるための「こだわり」を重視する消費傾向が顕著になっていったことが判った。

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© 2007 日本デザイン学会
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