本研究の目的は、評価者を立場により作り手・送り手・受け手の3つのユーザーグループに分類し、評価調査を実施し収集した評価データを統計的に分析することで、この3者間に存在するデザイン評価のズレを明らかにすることである。そして、その事実を広く知らしめ、ものづくり活動を行ううえでの支援システムを構築することにある。今回は調査の一例として、Gマーク受賞作品5アイテムを選出し、クオリティカルテを用いた評価調査を実施した。クオリティカルテとは九州大学ユーザーサイエンス機構評価・マネジメント部門において、グッドデザイン賞の審査講評から抽出したデザイン評価指標群である。このデザイン評価指標は、安全性、アクセシビリティ、ユーザビリティ、サスティナビリティ、審美性・品質、独創性などの内容が評価できる。本調査では全国4会場において評価調査を実施し、分散分析を行うことにより3ユーザーグループ間に統計的に有意なズレが存在することを明らかにした。そして、それらの結果をもとに、デザイナーを招聘しワークショップを実施することでそのズレの要因を探ることが出来た。