コンポジションとは,円や矩形等の複数の幾何形態を要素とし,その配置や組み合わせによってデザインを行う手法であり,バウハウスで初めてデザイン教育として取り入れられた.コンポジションは,造形における視的技法を体験的に学べる手法であり,デザイン教育として有効であるといわれている.しかし既存のコンポジション手法においては,準備や実施に手間と時間がかかるという課題を抱えており,現在では実施されなくなりつつある.一方,現在ではCADやDTPのように様々な作業がPC上で可能となっている.これにより,従来の作業と比べて効率化を主とした利点が得られており,また従来の作業では実現できなかった機能も得られている.コンポジションにおいても,デジタル化することによって同様の利点が得られると考えられる.本研究ではコンポジションをデジタル化したデジタルコンポジションシステムにおける,概念デザインを行った.ここで概念デザインとは,デザイン対象に関連する要素の構造を明確にすることであり,本研究では多空間デザインモデルに基づくデザイン手法および多変量解析を用いて要素の構造の明確化を行った.