日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第56回研究発表大会
セッションID: E10
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ヴェトナムのグエン朝王宮における家具配置
肇祖廟と皇帝陵廟及び世廟の家具配置比較
*赤松 明橋本 俊白井 裕泰中川 武
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抄録

2005年度から,ものつくり大学の海外学術調査(基盤A)として研究課題「阮朝・太廟・隆徳殿の修復計画-ヴィエトナムの文化遺産(建造物)の保存に関する技術移転の確立と国際協力」を実施している。その調査の一環として肇祖廟に配置されている家具について調査を行った。 肇祖廟の家具は,太祖廟の修復のために一時的に奉られているものであり,これらの家具配置が本来の配置であるか否かが問われている。そこで,代表的な皇帝陵における家具配置を調査し肇祖廟の家具配置と比較検討した。皇帝陵廟及び世廟における主な家具の配置は,位牌壇・ベッド・机(ベッドの上におかれた小机)・内祭壇・祭壇の順である。一方,肇祖廟においては,位牌壇の前にベッドが配置されておらず,玉座の次に机(ベッドの上に置かれた小机)が配置されている。さらに,内祭壇と祭壇の間に玉座が配されている。阮朝において,最も体制が安定し文化が華やぎ,戦禍を免れた明命帝期~嗣徳帝期の皇帝陵廟の家具配置が,本来の様式であると考えれば,本研究の対象である,肇祖廟における家具配置は特異な家具配置であることが認められた。

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© 2009 日本デザイン学会
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