本研究では、「工場景観愛好者」と「工場景観非愛好者」が工場・橋・歴史建造物の景観を好きもしくは嫌いと評価する要因を比較・分析した。被験者は、工場・橋・歴史建造物の景観写真を「好き-嫌い」を含む15の評価語対を用いて評価した。「好き-嫌い」を目的変数として重回帰分析を行った結果、工場愛好者の工場景観を「好き」と評価する感情要因が多く、多様な評価基準を用いて工場景観を評価していた。一方、工場非愛好明者の場合は、景観を好きと評価する感情要因が少なく、工場・橋・歴史建造物の全てを同じ評価基準を用いて評価していることが明らかになった。工場景観を評価する人々の感情には、愛好の度合いによって評価基準が多様化することが今回の研究で確認できた。