米国では、西欧の住宅デザインを模倣しながら独自の住宅デザイン理論を構築している。その理論は街路を基準とし、屋内と屋外との関連性を重視する考え方に基づいている。本研究では、米国の戸建住宅地において、住宅の間取りデザイン原理となっている「住宅デザインのコンポーネント・メソッド」について参照し、特に「セレモニアル・コンポーネント」に着目して、街路やまちとの関係性を考察することを目的とする。文献参照と現地調査の結果から、米国の住宅は方位に関係なくセレモニアル・コンポーネントが、原則として住宅と街路の境界領域となっていることが分かった。また、街路から見えるまちなみの構成要素としては、窓の連続する親しみやすい景観が生まれる一方で、外部に面するセレモニアル・コンポーネント領域があることによって、コミュニティ・コンポーネントの雑然とした日常生活を隠すことができ、セレモニアル・コンポーネントの開口部は透明性を維持しやすいことが分かった。 以上の米国における住宅のコンポーネント・メソッドは、我が国の住宅と住宅地に示唆を与えるものであると考えられる。