抄録
昨今の教材の電子化、デジタルネイティブである若年層の学習者等の需要から、文字情報での学習に代わる教育コンテンツや、そのための情報デザインの仕方が求められている。従来の学校教育における歴史の学び方は、暗記(意味記憶)に偏りがちであったが、脈絡の無い覚え方では忘れやすく、歴史に対する苦手意識を持たせてしまうことが多かった。一方で、英語などの語学学習では、印刷教材と視聴覚教材のクロスメディア展開が行われ、ストーリーを通し楽しむことで暗記だけでなくエピソード記憶を増やす方法が多く取られている。
一方で、東京都では公立高校で平成23年度から日本史が必修化され、独自の日本史科目「江戸から東京へ」を導入することが決められている。このことからも幕末の歴史の理解の重要性がうかがえる。本コンテンツ『幕末見聞帳』では、幕末の日本史を4つの章に分け、印刷教材とアニメーションでストーリーを通して学ぶことを提案している。主要な勢力の人物を動物キャラクターに置き換えることで、ターゲットの、歴史をこれから学ぶティーンエイジャーや、教養として振り返りたい学生層にとってエピソード記憶に留まりやすいアプローチを図っている。