鳥書体は、春秋戦国時代の中国における金文書体のひとつである。主に楚・呉・越などの南方諸国で発達したが、非常に装飾的な書体であるため、書体研究においては重要視されてこなかった。
西周時代までは、中国における文字は神との交流手段の一つとして神聖視されていたが、占卜と政治が分離していくに従って、文字の神聖性は薄れていった。しかし、中国南方諸国においては、巫祝による政治が続いており、文字の神聖性も残っていた。そのため、当時使われていた鳥書体には、信仰、神話からの影響が多く見られる。
この研究は、楚を始めとした南方諸国の文化及び信仰を明らかにすることで、古代王が鳥書体に表そうとした神聖性のデザインを明らかにすることを目的としている。