抄録
観光や都市計画をはじめとして,様々な分野でまちあるきへの関心が高まっている.しかし,まちあるきという知的活動そのものの特性を詳細に分析したうえで,そこで使用する道具の可能性を検討した研究はほとんど行われていない.そこで本研究では認知的体験としてのまちあるき(発見的まちあるき)に注目する. 発見的まちあるきを実践し,約70名文の函館湯川地区まちあるきデータが得られた.本稿では,発見内容に関する分析結果を報告する. 収集された発見の総数は約1,300であり,上位カテゴリー3種,下位カテゴリー10種に分類された.また,スマートフォンの使用によって発見数は増加したが,発見の質には影響がないことが分かった. これらの結果から,まちあるきをする「人」の認知的な特性を明らかにしたうえで,効果的な実践方法や技術支援について検討していく.