抄録
現代美術画家の猪熊弦一郎(1902~1993)は純粋美術の絵画作品だけでなく、応用美術としてのデザイン作品もいくつか残している。当研究は「日本のデザイン黎明期」に於ける彼の果たした役割を、主として文献資料を用い、以下の2つの視点から明らかにすることとした。1)彼は第二次世界大戦以降において、多くの建築家と共同作業で壁画の制作を行ってきた。これは彼が絵画と建築の融合に興味を持っていた証拠と考えられる。2)特に第二次世界大戦末から彼が北米に移るまでの10年間、多くのクリエイター(建築家・デザイナー等)と関係を持ち、お互いに様々な影響を与え合っていた。