近年、日本語と中国語を併用した外国人向けのパンフレットや、説明書、対訳本などの印刷物が目につくようになった。このような多言語併記のためのタイポグラフィでは、いかに版面の「調和」をとるのかが重要な課題となっている。「調和」のとれた組版を実現するため、各言語の読みやすさを確保しつつ、それぞれの組み方の調整を図る必要がある。本稿では、字間と行間の関係に着目し、中国語の本文組みにおける読みやすい組み方について考察することとした。
結果は以下のとおりである。本文組に対して、ベタ組から8分のアキまでの字間、4分の3のアキから全角までの行間の組み合わせがより読みやすいという結果が得られた。まだ、字間を少々広げることが好ましいと見なされている傾向が明らかとなった。