日本では高齢社会が到来し、後期高齢者(75歳以上)の自立への関心が高くなっている。後期高齢者は一般的な成人と比較して、加齢による衰えにより、家電の操作能力には大きなハンデがあると予測される。各種製品は、企業の競争や魅力づけから、多機能化が進み操作が複雑化し、後期高齢者と一般的な成人との製品の使用しやすさにおいての格差は、ますます広がっていくと思われる。そこで、本研究では家電の操作が難しくなると考えられる後期高齢者を対象とし、ダイヤルとボタンの二つのインターフェース要素において、家電操作で頻繁に用いられる増加・減少の操作を空調機器の温度と風量の設定を例にあげ、二つのインターフェース要素の使いやすさについて比較、検証を行った。結果、後期高齢者の中で二つのインターフェース要素には、違いが認められなかった。操作の複雑さがインターフェースの要素間の使いやすさに影響を与えると考えられる。そのため温度と風量などの単純な操作タスクではインターフェース要素間で差が現れにくいと考え、今後、複雑な操作時のインターフェースの要素の違いが後期高齢者の家電の使いやすさに与える影響について検証する必要がある。