本研究では51種のアゲハチョウを対象とし,その色彩傾向を調査した.方法としては,PCCSを用いてグルーピングを行い,各グループの配色傾向から全体の傾向をまとめた.その結果,対象とした51種のうち48種のアゲハチョウは10グループに分類され,配色パターンは「二極化」34種と「分散」14種の2パターンに分類された.「二極化」の色彩傾向においては,対照と類似の多様な組み合わせによる配色の偏りがみられ,1.類似トーン+対照明度,2.類似トーン+対照彩度,3.類似明度+対照明度,4.類似彩度+対照彩度,5.対照明度の5つの特徴にまとめられた.この配色パターンは,既存の色彩調和論に適合することがわかった.また,「分散」の色彩傾向においては,ベースカラーの低明度無彩色と対照明度の組み合わせに,中明度のアクセントカラーによって構成されていた.なお,「分散」にみられる色彩傾向においては,既存の色彩調和論に適合するものがみられなかった.これらの結果から,二極化の色彩を用いた配色集を提案した.本研究で提案した配色集はCMF支援ツールとしての有用性が期待される.