日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第63回研究発表大会
セッションID: C1-02
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伝統文化技能伝承のこれから
博多織DC、これまでの10年、これからの10年
田村 大鷲田 祐一
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抄録

工芸マーケットの縮小、職人の高齢化、少子化による新たな担い手の減少など、伝統文化の継承にかかわる環境は、厳しさを増している。そんな中、博多織技術の伝承を目指して設立された「博多織デベロップメントカレッジ(博多織DC)」は、新たな伝統文化技能継承の試みとして、伝統工芸を擁する各地の注目を集めた。2年間の全日制教育を、年間10名定員の少人数の学生に対して提供する試みは、多くの産地が抱える問題への処方箋になることが期待されたのである。2006年の開校以来、同校は計67名の卒業生を送り出してきた。着物マーケットが縮小を続ける中、博多織は苦戦を強いられており、総じて彼ら彼女らの活躍の場は限られた。作家として独立した者であっても、十分な収入を得られているものはごく少数である。教育を通じた技能継承がなされたとしても、それによって生計が立たないのであれば、持続的な伝承にはつながらない。そこで、2016年4月、同校は「創造と自立」を掲げてカリキュラムを刷新し、新たに6名の新入生を迎え入れた。本発表では、創造的実践の能力を強化するPBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)の導入に焦点を当て、博多織DCの新たな挑戦を報告する。

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© 2016 日本デザイン学会
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