抄録
道具の電子化や、システムの自動化など、人類は利便性を追い求め、その開発は日々進化し続けている。一方、車の運転において、バックモニター無しの車では駐車ができない若者が現れるなど、利便性追求の影響による、人間の能力劣化とも見られる現象がみられる。
本研究では、デザイン開発における利便性追求の影響よって発生している様々な現象は、それらの製品に、“人間の思考や感情が介在する余地”が少なくなりつつあることが原因であると考え、この思考や感情が介在する余地のことを、「思考の余白」と命名した。
便利、快適であることと、豊かで幸せであることは、必ずしも一致しないという仮説のもと、この「思考の余白」の適切な設計が、本質的に豊かで幸せな生活へと導く製品デザインの実現に向けた、新たな指針となることを目指す。