抄録
近年、人は起床時間の約60%を着座していると言われている。着座時間の増加により、椅子や自動車シートに関する快適性である「座り心地」への注目が高まってきている。そのため、座り心地に関する研究が多く行われているが、座り心地の研究知識は、様々な要素により複雑に構成されており、設計者が椅子やシートをデザインする際に的確に知識を活用することが困難とされている。そこで本研究では、様々な設計者が知識を活用できるよう、座り心地に関わる研究知識の体系化を行い、知識体系を用いた設計支援を行うことを目的として、座り心地研究知識の体系化を行った。体系化においては、多空間デザインモデルの枠組みを用いて、座り心地研究文献の要素を抽出し、要素間の関係を可視化して、研究知識を抽出可能な知識体系を構築した。構築した知識体系を用いて、自動車助手席シートを題材に、シート設計経験のない学生が機能デザインを行い、これをシート設計経験の長い設計者がAHPを用いて評価することで知識体系の有用性を検証した。結果、知識体系が機能デザインで有用であることが確認できると共に、経験の不足を補える可能性があることが示唆された。