抄録
本研究は,空間的,観光的価値の向上を目指し,かいわいを構成する要素としてのサウンドスケープについて,その抽出と分析を行っていくことを目的とする。本稿では今後,サウンドスケープの抽出と分析を行うために予備調査を行った15ヶ所の内,福井県越前市の旧今立町岩本かいわい,長崎県長崎市南山手・浦上かいわい,平戸市的山大島の神浦かいわいについて報告する。これらの調査の結果,自然に関連する音のように,多くの調査地で採音可能な音がある一方で,越前市の紙漉きの音,長崎南山手の遠くから聞こえる造船所の音,日本の音100選にも選ばれている山王神社では周囲に比べての静寂,楠の木の葉擦れ,的山大島の重要伝統的建造物群保存地区でも静寂など,そのかいわい特有のサウンドスケープを抽出することができた。今後は,これらの音の分析を進めるとともに,分類方法についても検討を進めることとする。