2018 年 57 巻 2 号 p. 245-249
捺染がテキスタイル加工に占める割合は約10%である.アナログ捺染に用いられる素材はコットンが半分である一方,繊維素材全体としてはポリエステルが伸長し,捺染用途でも着実に伸びている.デジタル化は2019年には7.6%に達すると予想されている.デジタル捺染は,台数ベースでは低速機が,加工数量ベースでは高速機が主力である.アナログ捺染機の主力機であるフラットとロータリーによる数量が93%を占める.ダウンタイムを考慮した実働速度を推定し,更にマンパワーあたりに換算すると,それぞれ100m/時および500m/時となる.売れ筋のデジタル機の現状は,ほぼこの速度に相当する.
捺染業にとって使用色材と糊組成は大きなノウハウである.市場をリードしているデジタル機はオープンインクタイプである.前処理はアナログ捺染の色糊に関係する.後処理は色材を繊維に固着させる役割で,アナログ以上に正確な条件制御が求められる.更に,繊維加工の基本は,不純物を除去する前工程がすべての基礎であることを忘れてはならない.インク開発に関して,温感性の少ない物性値制御と,大きな働き距離でのインク吐出性の最適化がポイントである.ヘッドアタックが最大のリスクとなる為である.
環境規制に呼応した動きが活発化している.アナログ捺染からデジタル捺染への移行が第一段階である.後処理で水を使わない色材の活用が第二段階である.コットン素材にはピグメント (顔料) インクであるが,前処理が不要または,そのインライン化や,高粘度インク吐出が可能なヘッド開発が待たれる.ポリエステルでは,サブリメーション (昇華転写) インクが一層進むであろう.