抄録
千葉県南房総地域には、仏像や寺社彫刻など多くの木彫の歴史的造形物が存在する。しかし、現代では寺社の管理者不在や檀家の減少などにより、これらの維持管理が難しい状況にある。このような状況の中で、地域の歴史的造形物は劣化、潜在化の一途を辿っており、地域の人びとがその造形に触れる機会が減っている。そこで、それらの造形物を顕在化させるための手法として、対象の3Dデータを取得し、そのデータを利用して製品を制作した。制作した製品を展示し、アンケートにより、その有用性の評価を行った。結果として、歴史的造形物を顕在化させる方法として、3D技術を用いた製品制作を行い、人びとに使ってもらうことは有効だと考えられる。そしてその評価を元に、数点の製品を提案し、また地域の工芸家とも協力しての製品制作も行った。制作方法として鋳造や、レジンキャストを利用した方法を用いた。これにより、工芸家に限らず地域の人が、地域のものを活用して、作り、使うという内発的発展にもつながると考えられる。