抄録
日本語タイポグラフィは、見出しと本文ととにもさまざまな書体が開発されてきた。文字組において重要な本文用書体は、欧文書体と異なって、見かけ上の違いは微妙であり、書体を選ぶ時に、候補となる書体の絞り込みが一般ユーザーにとって難しい。そこで、筆者らは、一般ユーザーがどういう視点から書体の類似度を判断するか、類似度判断が文字の形態属性からどのような影響を受けるかに焦点を絞り、日本語本文用書体の視覚的類似度を調査することとした。本稿では、書体の太さを揃えるように調整して類似度を調査し、書体の類似度の判断に影響を与えている属性を確認することも合わせて行った。
明朝体の方が、角ゴシック体より書体間の類似度が明確ではないことが認められた。また、類似度に影響する要因に考察を加えた結果、計2回の実験結果を比較したところ、一般ユーザーによる書体の類似度判断に関しては、先に字面の大きさ、見た目の太さで類似度を判断し、次に微細な違いを見ている傾向があると言える。