抄録
本研究では,書店において興味を持てる文庫小説の発見を助ける新しいサービスの提案を目的とし,その手法を検証した.
既存の陳列状況の問題点として,文庫小説に興味を持つきっかけがない,興味を持てる文庫小説を見つけにくい,探す過程が単調である,という三つの仮説を立て,それらの解決をサービスの目標とした.
試作や既存の調査の考察,調査の実施を通し,選書の分類基準を「趣味嗜好」に,分類項目を「料理」「旅行」などの12項目に決定した.
最終的に,他コーナーから文庫コーナーへの誘導,文庫コーナーで趣味嗜好に合わせた文庫小説を紹介,購入後の読書のサポート,という三つの機能をもつ,文鳥型のしおりを考案した.これには「文鳥が利用者の趣味嗜好に合わせたおすすめの文庫小説を紹介」というストーリー要素を持たせ,巣箱と概要ポスターを併用するようにした.
本サービスを書店で検証した結果,仮説の解決がみられた一方,売上の増加などの具体的な効果は得られなかった.分類基準・項目の再検討やサービスシステムの簡略化など,課題点は多く残るが,独自性や娯楽性のあるサービスシステムが有効である可能性がある,という結論を得た.