日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第66回春季研究発表大会
セッションID: A4-03
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「全史地図」とその作成を通じた地域学習
*北 雄介山田 雅敏
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抄録

我々の暮らす世界は、古代から現在まで、またよく知られた歴史的事件から我々の日常での物事に至る、無数の出来事の重ね合わせによってつくりあげられている。「全史地図」はそうしたあらゆる出来事をフラットに捉えた上でこれを地図上にマッピングするものである。また筆者らはこの地図を、地域学習の方法論とすることも意図している。本稿では全史地図のパイロットケースとして、静岡県浜松市北区井伊谷地区での「いいのや全史地図」作成のプロセスを振り返り考察を加える。
38名の大学生が井伊谷地区を歩き、地域で起きた出来事を収集した。その後に、地元協力者のチェックなどを経て最終的な地図を作成した。地図上にマッピングされた出来事はいわゆる歴史的事実から調査日当日の出来事にまで及び、フィールドワークにあたった学生たちはそのような時間の重層性を実感していた。一方で出来事の収集の難しさ、地元協力者への確認や表現などの段階を学習者が体験できなかったことなど、課題も見つかった。筆者らは今後も、対象地域や実施形式を工夫しながら、全史地図作成の試みを継続する予定である。

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