少子高齢化,地域社会の脆弱化等,社会構造の変化により,これまでの社会の仕組みが行き詰まり,新しい生活領域の仕組みを構築することが重要だと言われている.こうした背景を踏まえ,政府や企業は地域の社会課題解決やビジネス創出等の取り組みを実践する必要があるが,既存のサービスデザイン方法論やその方法論が前提として持つ人間観には限界があると言われる.そこで,我々はこれからの社会を見据えた新しい人間理解に基づくサービスデザイン方法論を,大牟田市の福祉現場が持つパーソンセンタードケアの概念に着目し検討している.本検討では,デザイン方法論において重要となる人間理解のプロセス構築に向けて,これまでの人間理解の課題を整理し,新たな人間理解の在り方について大牟田市の福祉現場の事例を分析したので報告する.