日本デザイン学会研究発表大会概要集
日本デザイン学会 第69回研究発表大会
セッションID: 3D-02
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漁業者とのデザイン実践と「良き仕事としてのデザイン」への示唆
*安井 重哉
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抄録

公立はこだて未来大学は、地域貢献に資する研究の柱として「マリンIT」を研究の重点領域に指定している。マリンIT とは、IT の導入による持続可能な沿岸漁業に関する取り組みの、本学における呼称である。筆者は、情報デザインの専門家として、マリンITの各種システム開発に携わってきた。そこには著者の考える「良き仕事としてのデザイン」への示唆の含まれる事例がいくつかあった。本稿では、そのひとつとして、沖縄県石垣島のマグロはえ縄漁を営む漁業者たちをパートナーとして開発したシステムのデザイン事例を挙げる。石垣島は、品質の高いマグロを市場に届けることができる利点があるが、従来は漁船ごとの位置や漁獲の情報が共有されていないことから、複数の漁船が同時に入港し、水揚げが重なることによる魚価の下落や、作業の滞りが生じることによる品質の低下を招くことがあった。著者らは、この問題の改善のためにiPadやAndroid TV用のアプリケーション群で構成される試験運用向けシステムを開発し、パートナーへのインタビューを経て改良を施した。そのデザインプロセスを振り返り、そこで得た「良き仕事としてのデザイン」への示唆について述べる。

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