抄録
本研究では,前傾させるときとさせずに座るときの使い分けができる360度揺れる椅子を対象に,動作解析,筋電図,座面圧力分布,主観評価の各観点から,360度座面が揺れる椅子がVDT作業中にユーザに与える影響を明らかにすることを目的とした.実験1では,30分間のVDT作業を総合的に比較した.実験1から,360度揺れる椅子でのVDT作業では一般的な事務用椅子よりも内腹斜筋の活動を促すことが分かった.また,ビデオ観察から360度揺れる椅子では座面を前傾させて座っている傾向が見られた.実験2では,360度揺れる椅子における座位姿勢の違いによる影響を運動学的側面と結びつけた解釈をすることを目的とし,360度揺れる椅子の特徴である座面が傾くことの効果を検証した.実験2の結果から,360度揺れる椅子で座面を前傾させ足を前に置く姿勢(AC②)は上体の筋活動が比較的大きく,座面を前傾させ足を後ろに置く姿勢(AC③)は上体の筋活動が小さいことが分かった.実験1と実験2の結果から,360度揺れる椅子はさまざまな座位姿勢をとりやすいという点でVDT作業に適したオフィスチェアであることが示唆された.