抄録
本研究では、「キャラティブ」と名付けた表現手法の実践とその効果について報告する。これは、参加者の髪型や服装などの外見的特徴をもとにデフォルメしたキャラクターを描くことで、個人の自然な語りや記憶を引き出すことを目的としたアプローチである。2024年10月に開催された理化学研究所主催のシンポジウムにおいて、約100名を対象にキャラティブを実施した。参加者にキャラのシールを配布したところ、多くの人が自身の装いにまつわるエピソードを語り出す様子が観察され、キャラをきっかけに個人の物語が引き出される効果が示された。これは、合理的・画一的になりがちな現代の医療や福祉の場において、パーソンセンタードデザイン(PCD)の視点と共鳴し、個の尊重を促す可能性がある。今後は、認知症ケアなどの現場において、日々の自己像や記憶を可視化・想起させるツールとしての応用が期待される。