主催: 日本デザイン学会
会議名: 日本デザイン学会第73回研究発表大会
回次: 73
開催地: 千葉工業大学 津田沼キャンパス
開催日: 2026/06/12 - 2026/06/14
現代の日本は深刻な人口減少局面にあり、特に地理的条件から人口減少の影響を受けやすい離島地域では、若年層の流出が喫緊の課題である。本研究の対象地である鹿児島県種子島では、多様な進路選択を支える高等教育環境の制約により、高校卒業生の多くが島外へ転出せざるを得ない構造的課題を抱えている。地域では多額の公費が教育に投入されているが、育成された人材は一律に都市部へ吸収される現状にある。本研究は、この流出を多様なキャリアパスを求める若者にとっての不可避な現実と捉え、島外から故郷に関わり続ける「適応的アプローチ」を提案する。具体的事例として、筆者が組織した種子島出身の大学生コミュニティ「学生団体のらねこ」の実践を報告する。2021年に発足した本団体は、オンライン技術と帰省時の実地活動を組み合わせた運営により、ネットワーク、プロジェクト、スタディの3機能を構築してきた。本アクション・リサーチを通じ、島外の若者を専門知を還元する「知的資本の供給者」と再定義するモデルの有効性を提示した。これは人口減少に直面する地方における、知の還流を基盤とした新たな社会形成モデルとなり得る。