抄録
通常のデザインプロセスにおいては,具体的デザイン作業を行うための指針としてデザインコンセプトが作成される。しかし,それは様々なレベルの言葉や視覚的資料を羅列したものに過ぎない場合が多い。また,それらと製品形態との関係も間接的で不明確なものでしかないため,的確なデザイン解を直ちに得るのは難しい。そこで本研究では,ファジィ理論の応用により,(1)デザインコンセプト用語の,デザイン知識ベースとしての階層化 (2)(1)を利用してデザインコンセプトから適切なデザイン解を導くための思考過程モデルの作成を行った。また,家庭用電話機の操作系をケーススタディーとしたシミュレーションを通じて,それらの有効性と妥当性を検討・確認した。その結果,デザインコンセプトを的確なデザイン解に結びつけるための指針を得ることができた。