1989 年 1989 巻 73 号 p. 83-88
本稿は,各社のファクシミリ製品間におけるデザインの類似性を評価してその分類を行うことにより,新たな創造性への発展と,デザインバリエーションの創出をねらったものである。従来,構造化の手法は市場の現状を理解するなど,客観的な把握のために用いられてきたが,本稿では,造形のための新しい発想への可能性を示唆している。製品デザインの類似性を分析し,デザイン要素を明確にするために,デザイナーの合議によってデザインを評価するという,ここでとりあげた手法は,開発に携わっているデザイナー相互間の共通意思としてのデザインコンセプトを決定するのに有効であることを示している。さらに,今回のプロセスは,解析結果を反映させて,アイデアの展開性を高めるのに有効であることを確認した。