デザイン学研究
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デザイン過程におけるかたちの操作について
國澤 好衛
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1989 年 1989 巻 73 号 p. 79-82

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抄録

工業デザインのデザイン過程は,曖昧な要求を明確に定義された概念に変換する過程と,その概念を満足する実体としてのデザインに変換する過程とからなる。(ここでは前者の過程を抽象の問題を扱う"概念の生成"過程と呼び,後者を具体の問題を扱う"かたちの操作"過程と呼ぶ。)"概念の生成"過程では,デザインの初期の段階での様々な要求を,関係化された言語表現や形態を直接的に示唆するイメージに変換する作業が行われる。また"かたちの操作"過程では,この変換された要求をもとにデザイン解の形態属性を探りだし,形態属性間の交互作用に留意しながら,その関係表現としてデザインへの変換が行われる。さらに関係化された形態属性の個々の属性要素についてその取り得る可能性の中から,関係を維持しつつ最適な要素を選び出し,最終解としてのデザインを導き出す作業が行われる。本報ではこの操作過程をさぐる過程とつくる過程とに分け,要求,形態属性,形態要素の関係化の過程として捉え,デザインの恣意性,曖昧性,デザイン解の多義性などに迫っている。

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© 1989 日本デザイン学会
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