デザイン学研究
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「際立ち」の観点からの景観デザインに関する考察
島村 桂子
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1990 年 1990 巻 79 号 p. 15-22

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抄録

本研究は,イメージに基盤を置いた景観デザイン理論構築のための基礎研究である。本研究は,人間の知覚および認知特性に基づき,イメージ生成において人間が直観的にとらえ抽出する情報の単位として「際立ち」の概念を設定し,イメージ生成において抽出される「際立ち」要素の類型と,「際立ち」と優れた景観デザインの関係に関して考察した。考察結果は次の通りである。(1)イメージ生成の知覚を主とした段階では,9種類の典型的「際立ち」があること,が仮定できること,(2)見え隠れ,借景,ヴィスタの技法は,「際立ち」を活かした技法であり,日本三景は「際立ち」抽出が極めて容易な物理的条件を備えた景観であること,(3)景観デザインにおいて,「際立ち」抽出の観点は,景観演出上,有効な観点の一つであり,今日の景観デザインにおいては,文化的規範にも留意しながら,何をどのように際立たせるかを考慮すべきであると同時に,瞬間的には「地」であるが出現頻度の高い要素や「際立ち」を引き立てる装置にも注意を払うべきであることが留意点として示唆される。

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© 1990 日本デザイン学会
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