1992 年 1992 巻 94 号 p. 43-50
人間の選好(製品魅力度)のモデル化に関する研究においては,形態要素を説明変数とした,色々な分析研究が行われてきた。本研究は,自動車について,従来の形態要素のような物理的データではなく,[認知された部位と部位の連合(注目した部位)]を説明変数として用い,選好モデルの構築を検討した。さらに,このモデルの妥当性と有用性を考察して,以下の結果を明らかにした。1)認知した部位を適当な数の部位の連合としてまとめたとき,それらを説明変数として製品魅力度に対する線形モデルが構築できる。その場合,部位連合の数が10ないし20のときに,線形モデルは妥当である。2)正準相関分析の一つの変数群にサンプル群を用いることにより,認知部位の造形上の特徴が製品魅力に寄与する様子を推測できることが分かった。この方法はデザイン具体化の指針として有用である。