デザイン学研究
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精神薄弱児のボタン操作における認知と反応 : 精神薄弱児の生活道具に対する認知と適応に関する研究(2)
林 振陽
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1993 年 40 巻 3 号 p. 1-6

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抄録

前報「精神薄弱児の基本形態と製品形態に対する認知」に引き続き,本稿は扇風機のボタン操作における認知と反応についての実験をまとめたものである。形状や付加記号や色彩の異なるボタンに対する精神薄弱児の認知と反応を調査・検討した。ボタン操作実験では,使用するボタンの形を正方形,長方形,円形,三角形,楕円形の5種類に,記号と色彩の配合をI:無記号・無着色ボタン,II:アラビヤ数字ボタン,III:漢字ボタン,IV:ローマ数字ボタン,V:1色着色ボタン,VI:3色着色ボタンの6種類に設定した。実験対象は台湾省台南啓智学校在学生30名で,すべて6〜15歳の軽・中度精神薄弱児である。実験は,実験組15名と,制御組15名の2班に分けて行なった。結果として,ボタン形状に対する認知において,三角形と円形と正方形の正答率が高く,文字・記号・色彩などが付けられた場合は上記VI・IV・IIの正答率が高いという知見が得られた。本研究で得られた知見は,精神薄弱児により適切な生活製品を提供するための参考になると思われる。

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© 1993 日本デザイン学会
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