デザイン学研究
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内発的地域振興の視座と過程 : 「意匠」の哲学の反映としての内発的地域振興の一事例
宮崎 清田中 みなみ三橋 俊雄
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1993 年 40 巻 3 号 p. 31-38

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抄録

本稿は,筆話の経験に基づき,「内発的地域振興」に必要な視座と方法を具体的に記述したものである。この小論のなかで,筆者は,次の点を明記した。(1)「内発的」は,「デザイン」に対応する「意匠」の哲学,とりわけ,「意匠とは人心の華なり」の理念に立脚して初めて可能である。(2)「内発的は」は,「地域とは,歴史であり,個性である」「地域づくりの始点は,地域の華の再確認にある」「地域づくりは,内向きの発想で」の三原則に準拠して初めて可能である。(3)「内発的」は,地域住民による失敗を恐れない実践の積み重ね,ならびに,それに連動して生起する意識・認識の高揚のなかから,自ずと展開されるものである。(4)「内発的」が「地域住民こそ地域づくりの主人公である」ことを意味する以上,デザイナーは黒子としての役柄を果たすというスタンスで,一貫して,「地域づくり」に関係していくことが肝要である。

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© 1993 日本デザイン学会
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